過去に作成した公正証書の変更(養育費の減額)
過去に作成した公正証書の内容を変更したい・・・という方のお問い合わせはよくあります。
その多くは養育費や慰謝料の月々の支払い額を減額したいというもの。
前夫が約束通り支払えなくなり、前妻に対し減額を申し出ているようです。
この要求を快諾する前妻はいないと思いますが、内容によっては応じる必要があるときもあります。
この場合、変更する方法は2つあります
1つは、公正証書を変更せず、お互いの了承のもと支払い額を変更する
※変更手続きの手間は省けますが、万一支払いが滞った場合、書面上の額が強制執行の対象となります
もう1つは、きちんと公正証書を変更する
公正証書の変更は、簡単に出来ると思いがちですが、実は作成時と同じ手順、手続きを踏まなければならない為、案外面倒です
○公正証書変更の原案(委任状)作成
○公証役場での打ち合わせ
○印鑑証明書の提出
それに、手数料も掛かります
(この手数料に関しては、前夫が支払うべきものだと思いますが・・・)
以上のように、作成時と同じ手順が必要とのことをお伝えすると、変更を躊躇する方も多いです
もともと公正証書というのは、裁判の判決と同じ効力がありますので、簡単に覆す事は出来ません
変更といっても簡単には出来ないのです
養育費の額によっては・・・
ですが、内容によっては変更に応じた方がよい場合もあります。
具体的にどのような場合かというと、養育費をもらいすぎている場合です。
判断の基準としては「養育費算定表」と比べて明らかに範囲を越えている場合。
例えば算定表では、子ども二人で月々14万円~16万円と出ているのに、実際は一人10万円で合計で20万円の養育費をもらっている。
しかも、離婚当時は妻に殆ど収入がなかったのに対し現在は正社員として働いていたり、再婚して経済的に安定しているといった場合には、夫の要求に応じた方が結果的によい場合があります。
なぜかというと、養育費の減額に応じなければ、前夫は家庭裁判所に対し「養育費減額請求」をすることになります。
そうなると算定表に基づいた額になる可能性がでてきます。
算定表よりも多くもらっていて、しかも状況が離婚時と大きく変わっているという場合には、減額請求で算定表通りになるよりも若干の減額に応じた方が下げ幅が少なくて済みます。
分かりやすく具体的に説明します。
例えば当時の算定表では、14万~16万。
現在妻が正社員で働いていたら、算定表10万~12万。
もらっている養育費が20万円だとします。
もし夫の減額に応じなければ、裁判では算定表の12万円になってしまう可能性があります。
それだったら、若干の減額に応じてあげる(例えば16万など)その方が得です。
もし前夫より減額の申し出があった場合には、手間とお金が掛かる旨を伝え、費用を支払う事を条件に検討してみてはいかがでしょう。